生きるとは
西本願寺前門主 大谷光真
「うれしい時、悲しい時、私たちが思わず愛する人の名を呼ぶのは、その人から見守られているような安心感を得られるからです。南無阿弥陀仏とお念仏を唱えることは、み仏の名を呼ぶこと。み仏に呼びかけることで、私たちを見守ってくださる、み仏のまなざしを感じることができます」(第2章より)
仏教を身近に感じ、生活に取り入れるための基本的な心構えについて、やさしい言葉で説かれた本書は、1977年に書かれたものの改版ですが、古さを感じさせない、現代を生きる知恵がこめられています。
比較や競争にばかり心を奪われていないか? 今さえよければいいという生き方をしていないか? などの問いかけを通して、人智を超えたものへの畏敬の念をみずからの芯に据え、足元を確かめながら生きていくことの大切さに、改めて気づかされます。ふと道に迷った時に読み返せば、きっと道しるべとなってくれることでしょう。
西本願寺への誘い 信仰がまもり伝えた世界文化遺産
岡村喜史
2004年6月から7年間『季刊せいてん』で連載された「本願寺の風景」をまとめたもので、西本願寺のお堂や、各書院の歴史と見どころがくわしく解説されています。
掲載されているお堂や書院の多くが、国宝または重要文化財に指定されています。中には一般公開されていないものもあり、建物の内部をじっくりと見ることができる本書は、貴重な資料でもあります。
ほぼ全てのページにカラー写真が使用され、美しい天井画や障壁画はもちろんのこと、欄間(らんま)彫刻や釘隠しなどの細部に渡った装飾を眺めているだけでも、心が落ち着くことでしょう。
本願寺が建てられてから400年余り、今もなおこの美しく荘厳な建造物が存在するのは、浄土真宗を信仰する多くの人々のおかげであり、これからも守っていきたい、と改めて思わせてくれる一冊です。
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