2021年10月のおすすめ本 | 築地本願寺

2021年10月のおすすめ本

  • この世を仏教で生きる」大平光代・釈徹宗対談集

    本願寺出版社

     ベストセラー「だから、あなたも生き抜いて」で知られる弁護士・大平光代氏と、僧侶で宗教学者の釈徹宗氏との対談集。大平氏は、中学時代のいじめがきっかけで、暴走族から裏社会へと入り、極道の妻となるが離婚。その後一念発起して弁護士となり、大阪市助役まで務めたのち、中央仏教学院で学んだ経歴の持ち主。自身の波乱万丈かつ剛毅な大逆転人生を振り返りつつ、迷走する現代日本の世相について、仏教的観点から釈氏と熱論を交わします。
     経済効率性の過剰な追及で閉塞した社会に風穴を開けるには、昔ながらの共同体の中で自然に受け継がれ育まれてきた、仏教倫理によるつながりを復活させるべきである。そして、大いなる存在に頭を垂れ、傲慢な自我を滅却する姿勢こそが必要だ、と両氏は訴えます。弁護士として非行少年少女たちの更生に尽力して来られた大平氏と、大学教授として教育の、また自ら運営するグループホームにて老人福祉の現場に携わって来られた釈氏ならではの、深く豊かな説得力に満ちています。
     いじめ問題、出生前診断・安楽死など生命倫理の問題、裁判員制度の不備…初版2013年ですが、古さを感じさせない問題提起が沢山詰まった本書は、コロナショック以降のこれからの時代においても、もっと読み継いでいきたい一冊です。

  • 親鸞聖人関東ご旧跡ガイド

    監修 今井雅晴/編集 『親鸞聖人関東ご旧跡ガイド』編集委員会

     親鸞聖人は四十二歳からの約二十年間、茨城県を中心とした地域に住み、関東各地へ布教されました。六十歳の頃に京都へ帰られましたが、それからも三十年間は交流が続いたと言われています。そんな関東はいわば親鸞聖人の「ふるさと」でもあります。
     本書では岩手から長野までの関東域における、聖人及び門弟ゆかりの遺跡のご紹介はもちろん、「参拝のこころえ」や詳しいアクセス情報等が掲載されています。寺院ごとのページには写真も載っているのでとても見やすいガイドブックとなっています。
    涼しくなってきたこの頃、親鸞聖人とその弟子たちの交流を想いながらお近くのご旧跡巡りをされてみてはいかがでしょうか。

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