花まつりにいきたい
文:あまんきみこ 絵:羽尻利門
今の季節にぴったりのきれいな絵とともに、生きていく上でのヒントを伝えてくれる一冊です。住む人のいなくなった家の庭の桜の木が少年と心を通わせる不思議なお話。寂しい桜の木が“花まつりに連れて行ってほしい”と道行く人に訴えかけるものの、誰も桜の木の“声”には気づかずに通り過ぎていく。そうした情景は、現代社会の冷たい一面を表しているようでなんだか切なく悲しい気持ちになりますが、ある1人の少年がその“声”に振り向きます。そこでは、“自分は1人ではないんだ、必ず誰か手を差し伸べてくれる人がいるんだ”という希望が見出され、優しい気持ちにさせてくれます。桜の木の思いを受けた花びらが風に吹かれて流れゆく描写は美しく、自粛期間で花見もままならなかった去年の分も取り戻すように満開の桜を眺めたいと、そう思わせてくれる美しい絵本です。
ひらがな真宗
森田真円
仏教に多少興味を持っていても、ブッダの教えを知ろうとするとなかなか難解で、理解するのが大変です。それに加えて、それぞれの宗派ごとに別々の教えがあるとなると、ともすれば「ここから先はちょっと…」と、あきらめてしまう方も多いのではないでしょうか。本書は、そんなどこか近づき難い教えを、身近な話を盛り込んだ短編や小咄におきかえることで、いつの間にか「なるほど!」と一つひとつ納得しながら読めるよう編まれています。語り口調のやわらかい言葉で綴られており、仏教書というよりも日常生活と絡めたエッセイのようにサラリと読むことができます。浄土真宗の初学者の方はもちろん、長年み教えに親しまれている方にもおススメの一冊です。
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