五感でナビ 「建」

アートな魅力と、重要文化財

築地本願寺をご覧いただいた方には、「イメージにある日本のお寺らしくない」とよく驚かれます。
たしかによく見る寺院のような木造建築ではありませんが、中の本堂は歴史ある浄土真宗の寺院様式なんですよ。
建物としてもいろいろ見どころがありますので、実際にご覧になりませんか。

古代インド様式と、浄土真宗の「みんなのお寺」が融合

丸みを帯びた屋根にトゲのような塔、石の大きな階段と宮殿のような柱…。
築地の地で突然目に入るこの建築物は、一見お寺に見えず、人によって洋風ともインド・アジア風とも捉えられる「何か不思議な、荘厳な建物」と映るようです。
丸みを帯びた部分は本堂の屋根で、モチーフは菩提樹の葉。その中央に描かれているのは仏教のシンボルの花でもある蓮の花。これが私たち「築地本願寺」の正面の顔です。

外観

外観

築地本願寺が現在のような姿になったのは、1934(昭和9)年のことです。江戸時代初期の創建からそれまで2度の大災害を経て復興にあたるときでした。
築地本願寺創建の歴史はこちら
その時建築を行ったのは、建築家の伊東忠太氏です。それは西本願寺第22代大谷光瑞(こうずい)門主がインド・アジアへ仏教の源を求めて旅をしたことがきっかけで、交流があったためでした。

地震や火事に強く、かつ新しい仏教建築を望む中から、現在のような鉄筋コンクリートや花崗岩を用いた建築、古代インド様式のデザイン、伊東忠太氏の個性あるさまざまな意匠が取り入れられました。

意匠

意匠

その一方で、本堂に入ると、阿弥陀さまが安置されている「内陣(ないじん)」より人々が参拝するスペース「外陣(げじん)」が広いという、浄土真宗独特の寺院様式となっています。
お参りスペースの方が広いのはなぜでしょう。
それは、もともと浄土真宗のお寺の成り立ちがみんなが集まる道場であり、お参りに来る人が1人でも多く座れるようにつくられているからです。

本堂全体(内陣)

みんながお念仏のために寄りあう小さな場所が、浄土真宗のお寺の原点。
時の権力者によって寄進されたり、僧侶や特別に修行をする人のために作られるのではなく、その土地にくらす人々が力を合わせて建てた歴史があるのです。

築地本願寺はこういった背景で建築されました。その結果、石造り、古代インド様式、パイプオルガン、ステンドグラス、細部の凝った意匠、イス式の本堂、そしてお香の香り...これらのさまざまな要素が融合して、個性豊かで独特の雰囲気をもつエンターテインメント性のある空間となっています。

パイプオルガン

この本堂では、法要や結婚式のほか、講演会やパイプオルガンランチタイムコンサートが、境内では祭りや朝市をはじめ、実にさまざまなイベントが開催されています。
また夜には建物がライトアップされ、昼とは違った表情をしています。
いつ見ても、どこから見ても楽しめる築地本願寺に、ぜひお気軽にお越しください。

国の重要文化財に指定されました

築地本願寺の本堂の独特なたたずまいは、伝統的な形式と当時最新の技術を用いており、震災復興期の貴重な建造物として、外周の石塀、三門(正門・北門・南門)の門柱とともに、2014(平成26)年、国の重要文化財に指定されました。

本堂・門柱(正門)

石塀